
四谷税務署の近く、三栄公園の斜め前にあるフランス料理店「東京アニス」は、飯田橋にあるあの有名な“東京パリ食堂”の姉妹店だ。
「ゆったりとフランス料理を楽しめるお店をつくりたい」と考えたシェフが、“東京パリ食堂”を息子さんに譲った後に奥さんと二人でこの地にお店を開き、今年で6年目になる。

大きなフランス国旗がはためく入口から店内に入ると、中はスランスの田舎町にあるカフェのような、それでいてアットホームなホッとする空間が広がっている。料理の味はもちろん、そうした雰囲気に惹かれてか、関東各地からやってくる人も多いのだとか。そしてお人柄に惹かれて、東京パリ食堂の時代からシェフとマダムを追いかけてくるお客。お店が混まないわけがない。
私も、そんな雰囲気を楽しみつつ、一番人気だという「menu a’ 3,500yen」をオーダーすると、「この子、ウチの社長なんです」と突然マダムが紹介してくれたのは、お二人の愛犬“アニス”君。なんでも、このお店を作った最大の理由はお二人がアニス君とゆっくり過ごしたかったからなのだそうで、お店の名前も彼から貰って付けたのだそうだ。今ではお客の中にもアニス君に会いたくてやってくるリピーターも入るほどの“看板息子”なのだが、当然の事ながら食事をしているお客に近寄ることはしないし、ましてや吠えるなんて一切しないなど“しつけ”もバッチりなのだ。

私もマダムに負けじと愛犬の写真を見せてお互い“親ばか”ぶりを発揮していると、お待ちかねの料理が運ばれてきた。
まずは「本日のスープ」。玉葱の冷たいスープの中に、コンソメスープをゼリー状にして浮かべてある、豪華ダブルスープだ。玉葱スープのクリーミーだがあっさりした中にコンソメゼリーのプルルンとした食感が口内全体を刺激し、なんとも楽しく味わえる逸品だ。

次に「今日の前菜」。“今日の”と付くのは仕入れによって毎日内容が変わるからで、取材当日は“生ハムサラダ”“ソーセージとキノコのキッシュ”“イワシのエカベッシュ”など7種類が乗っている。味はどれも“東京パリ食堂”の時代から多くの人々のお墨付きなのは言うまでもないが、中でも特にお薦めなのは「赤ピーマンのムース」だ。口の中に入れるとスーっと溶けていく感覚は、例えて言うならば“温かいアイスクリーム”。その不思議な食感を楽しんでいる間に、赤ピーマンを軸とした複雑で濃厚な味が口いっぱいに広がって消えていくのは、もうさすがとしか言いようがない。

そしてメインは「鴨肉のブルーベリーソース」。表面を強火で一気に焼いて、その余熱を使った特殊な方法で中まで火を通した鴨肉は、香ばしさと柔らかさとジューシーさを兼ね備えており、臭みなど全くない。そこにかかったブルーベリーソースも絶妙。一件ジャムのような甘さを想像してしまうのだが、フランス料理でよくあるオレンジソースのように爽やかな酸味があり、オレンジソースよりもしっかりした味わい。正直ブルーベリーと鴨肉がこんなに相性がいいとは思っていなかった。これは嬉しい初めての出会いだ。

最後の締めは、「デザートプレート」。“モカのブリュレ”と“カスタードのムース”、それに“木いちごのアイス”の3点セットの新たな味が、スッと口の中の味覚を蘇らせてくれる。
もうここまで来るとお腹いっぱい。しかもこれに飲み物もついて、3,500円というのだからこのご時勢で破格のコストパフォーマンスと言えよう。やはり、「日常の食事として“フランス料理”をリーズナブルに提供したい」という“東京パリ食堂”の精神は、しっかりここでも生きていた。

ちなみにこちらのお店は、「ゆったりとフランス料理を楽しめるお店」にするために、1日4組までしか予約を入れないとの事なので、もし予約したい場合は早めの方がいいだろう。さらに、15~20名くらいには最適の広さのうえ、貸切なら立食でも大皿料理でも希望に合わせてくれるとのことなので、パーティースペースにはもってこいかもしれない。
是非一度、この居心地の良さを味わってみては?

東京アニス
住所 東京都新宿区三栄町19 大河ビル1F
電話 03-3350-1633
営業時間 12:00~13:30 18:00~20:30
定休日 月・日・祝日
メニュー例:
menu a’ 3,500yen…3,500円
menu a’ 5,000yen…5,000円
帆立貝のポワレ サラダ仕立て…1,500円
自家製スモークサーモンとアボカド…1,200円
メインディッシュ…全て1,700円











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