「梅田北ヤード」で生まれ変わる大阪北部
現在、大阪では数多くの再開発事業が行われているが、その規模・数ともにミナミよりキタのほうが勝っているようである。また都島区や京橋周辺では概ね再開発が完了、下町的な街並みから現代的な都市型住宅地へと変貌した。そんな大阪市北部の再開発を眺めてみたい。

大阪を代表する繁華街であり、ビジネスタウンでもある「梅田」。1990年代以降、数多くの再開発が行われ、それ以前とは風景が大きく異なっている。都心部でこれほどまでの再開発が行われた場所も日本でも珍しい。
これまでに「ザ・リッツ・カールトン大阪」や「ハービスPLAZA」が入居する『オオサカガーデンシティ(2004年全面開業)』、大阪の新たな象徴として親しまれている「梅田スカイビル」や「ウェスティンホテル大阪」などを有する『新梅田シティ(1993年開業)』など、既に事業が完了しているものでも相当に大規模なものばかりだ。

茶屋町方面の再開発も含めて、梅田のイメージ・商業集積度は大きく飛躍、ショッピングタウンとしての地位はミナミや神戸・京都などのライバルタウンを大きく引き離す形となった。

これだけでも相当な再開発であるが、これらを凌駕する大規模計画が現在進行中である。「大阪駅北地区」通称梅田北ヤードの再開発計画だ。
「梅田北ヤード」とはJR大阪駅の北側、梅田貨物駅跡地を中心とする総面積約24haもの広さを有する「空き地」のことだ。これまで貨物駅として大阪の物流の中心として機能してきたが、鉄道貨物輸送の効率化と貨物駅の郊外移転に伴い、大阪駅の目の前と言う超一等地に広大な未利用地が発生した。
これまでにも有効活用が叫ばれていたが、「都市再生緊急整備地域」に指定されたことを受けて、日本でも最大規模の再開発が一気に進行し始めた。
現在は総面積約24haのうち阪急梅田駅よりの約7haを先行開発区域として、2006年に開発事業者が決定、2011年の街開きに向けて整備が進められている。完成の暁にはオフィス・店舗・ホテル・マンションが入る180m級の超高層ビルが新たに4棟並び建ち、また駅前広場と大きなプロムナードが整備される予定となっている。また残りの17ha余りの地区は2020年の完成を目途に再開発される予定である。
同時に大阪駅北口には「新北ビル」として駅ビル建設が進行中で、東京の百貨店でファッションには特に定評のある「伊勢丹」の大阪初出店となる『ジェイアール大阪三越伊勢丹』が入居予定で、2011年春の竣工を目指している。

この駅ビル開発に合わせてJR大阪駅はリニューアルを進めている。ホーム上には駅全体を覆うように高さ約25から50mの大規模ドームが設置される予定である。その完成予定図を見ると日本の「駅」の概念を覆すようなオシャレで、開放的で、そして巨大な駅舎となる予定である。また、ホーム上には南北自由通路が同時に整備される予定であり、大阪駅南口と北ヤードの結びつきは一段と強くなるはずだ。
完成の暁には、先行する形で2001年11月に開業した『ヨドバシ梅田』とともに大阪駅北地区を代表するショッピングスポットとなることだろう。

これに対抗するかのように、梅田の雄・阪急グループは老朽化した『阪急百貨店梅田本店』ビルを解体し、2012年春までに新梅田阪急ビル(187m)を建設、大阪駅南口の駅ビルに入る『大丸梅田店』も増床中だ。

これ以外にも梅田周辺では、サンケイビル跡地の西梅田プロジェクトの開発(170m)、毎日新聞社2期ビル(99m)、富国生命ビルの建て替え(地上20階以上)、阪神百貨店・新阪急ビル建て替え(一体開発を検討)、朝日放送本社跡地再開発、大阪中央郵便局高層化(検討中)、ヨドバシカメラ北側駐車場跡地(新阪急ホテルが移転の可能性)、ヤンマー本社建て替え、JR西日本本社周辺再開発、森トラスト中之島新ホテル、リーガロイヤルホテルウエストウイング(旧館)建て替えなど、隣接する中之島4~6丁目の再開発を合わせて、ゆうに50棟を超える超高層ビル(高さ100m以上)が立ち並ぶ、まさに高層ビル街となる予定だ。
一方、そんな梅田に程近い、大阪市北部の一部である都島区も、再開発を経て生まれ変わった地域である。
1980年代の都島区には、大川の豊富な水量を魅力として多くの工場が建設された。その後、工場が他の地域に移転していく中、その跡地はマンションなどの良好な住宅街として再開発された。大正期には、淀川の改修工事をし、それにともなって緑豊かなリバーサイド公園(毛馬桜ノ宮公園)を開園した。
工場だけでなく、電車施設の跡地も有効利用された。市電都島車庫跡地や旧国鉄淀川貨物線跡地には、総合医療センターや保健福祉センター分館、スポーツセンターなどの公共施設が整備されたのである。
都島区の魅力は、医療福祉施設が充実し、緑化整備がなされているうえに、梅田という「アジアの首都」に程近い地の利も得ているという、まさに「みやこ」と称するにふさわしい住環境が整っているところにあるだろう。



