restaurant sans‐culotte(レストラン サンキュロット)
思うにフレンチレストランを訪れる時とは、ただ「フレンチが食べたい」という「味」の欲求だけではなく、日常と違うゆったりした時間の流れに身を置きたい時なのではないだろうか。大泉学園に、その「味」と「時間」両方の期待を満たしてくれるフレンチの名店がある。都道24号線沿いの東映通り交差点近く、オーナーシェフとソムリエールのご夫妻が営む「restaurant sans‐culotte(レストラン サンキュロット)」だ。

今回訪れたのは平日のランチタイム。ラストオーダーの30分前に訪れたため、他の席の先客たちはほとんどメインを終え、チーズやデザートを前に会話を楽しんでいる。広い窓から冬の低い陽光が差しこみ、深いグリーンと白で統一されたテーブルリネンを明るく照らしている。

そしてとても居心地が良い。フレンチ、初めての店、おひとりさま…という条件が重なれば、普通はもっと緊張するものなのに。どうしてかと考えてもすぐには分からないが、店内の随所に細やかな気配りが施されていることは分かる。例えば、明るさを損なわずに日差しを和らげるために市販にない変則的なサイズのカーテンを作り、寒い日には天井の空調に加えて窓際のオイルヒーターで店内の温度差をなくしたりという具合。素晴らしいのが洗面所。ペーパータオルではなく清潔なハンドタオルが籠に積んであり、いちど使ったら取り替えるという。「もてなされている」という温かい実感が伝わってくるのだ。
さて料理、選んだのは平日のみのBコース。アミューズグール(ひとくち前菜の盛り合わせ)、メイン(肉か魚を選択)、フロマージュ(チーズ)、デザートに、エスプレッソかコーヒー・紅茶のいずれかを付けるコースだ。メインは日替わりで、魚は1種類だが肉は好みで違うものも選べる。

アミューズグールは、生ハム、サラミ、魚のブランダード(ペースト)の冷たい3品に加えて、熱々のエスカルゴのブルギニョン風が付いてきた、この温度差が胃袋を動かして食欲を誘ってくれる。いずれも程よく塩気があって、できれば泡の出る食前酒でも合わせたいところ。
小粒のオリーブで口中をさっぱりと締めたら、いよいよメインの肉料理だ。日替わりの「鳥モモの軽いフュメ ケッパーと香草のソース」にも気を惹かれながら、子羊か? それとも蝦夷鹿? と散々迷った末、今回は500円プラスして「鴨マグレ(フォアグラを採った後の鴨)のポルト酒のソース」に換えてもらった。

やや厚切りなのが嬉しい。一切れ噛みしめると、ソースのポルトワインの甘みの後で、鴨肉の強い香りが立ち上る。肉の線維がほぐれる噛み応えを楽しんでいると、粒塩のざりっとした感触がアクセントをくれ、グリーンペッパーの爽やかな辛さがキリッと引き締める。これらの感覚を一口の中で行き来するのが楽しい。
ただひと言「おいしい」の中身をなんとか言葉にしようとすると、こんな感じになった。

パンでソースを拭い、さて次は…と気持ちを切り替えたタイミングで、チーズのリストが差し出された。お好みの3種を一口サイズで選べる。見慣れない名前のチーズも、好みを伝えれば丁寧なアドバイスが貰える。

ランチコースにチーズの盛り合わせが組み込まれているというのは、比較的珍しいのではないだろうか。メインを終えたけれど、まだワインが残っている、とか、すぐデザートで締めずに、もう少し食事の余韻や会話を楽しみたい…こんな時にチーズのひと皿はありがたいのだ。居心地の良さに会話が弾んでワインをもう一杯、ということも大いにありそうだから、これはやはり比較的混まない平日ならではの楽しみだろう。

デザートはクレーム・ブリュレ。ひところ巷では映画の影響か、ガチガチの表面を叩き割るようなブリュレも多かった気がするが、こちらは例えるなら冬の早朝の薄氷。ブリュレされて飴になった表面がスプーンの先でもろく崩れて、口の中ではらはらと溶け、甘すぎないクレームと混ざり合う。
食事を終えて、こちらが「水が欲しい」などと思った時には即座にサーブされるのに、それ以外の時には店の人が視界に入ることが殆どなかったことに気付いた。厨房とフロアの間のスペースから、座席に目を配ってくれていたのだ。これは席数16席という決して広くないフロアでは、結構雰囲気に影響があると思う。「見られている」息苦しさなしに気配りが行き届くから、こちらは何も考えずに寛いでいられるのだ。

「restaurant sans‐culotte」。立地と雰囲気は気楽な「ご近所フレンチ」で、味わいはしっかり本格派なのだから嬉しくなってしまう。
restaurant sans‐culotte(レストラン サンキュロット)
住所:東京都練馬区東大泉2-9-7 メゾンフォンテーン
電話:03-3978-6061
営業時間:ランチ11:30~14:00(ラストオーダー)、ディナー18:00~21:00(ラストオーダー)
定休日:月曜
座席数:16席
メニュー例:
Aコースランチ…1,680円
Bコースランチ…2,100円
Cコースランチ…2,520円(土・日・祝日はCコースのみ)
ディナーコース…5,000円~(予算に応じて相談)※日曜のディナーは前日までの予約
グラスワイン…560円~
ボトルワイン…2,200円~
http://r.gnavi.co.jp/p435200/
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